セレモニースタッフ 入山 一巳

 

「心」と「こころ」

想えば、私が葬儀の世界へ足を踏み入れ早、10年以上が経ちます。それまでは、一か所に留まることが嫌いな性分もあり旅行の添乗員をしながら日本各地へ赴き楽しく過ごしていました。転機となったのは、20代最後の年に見送った伯父の葬儀でした。初めての身近な人のお葬式であり伯父は、55歳の若さで家人の居ない自宅で一人、吐血し倒れていたところを帰宅した奥様に見つけられ、僅か3日の闘病生活の後、静かに息を引き取ったとの事でした。迎えた通夜の席、自宅で倒れているご主人を見つけた奥様は、さぞ狼狽し憔悴されていると思っていましたが気丈に参列者へ挨拶をしており、少し驚いたのを覚えています。入院中の奥様は、何一つ自分では、決めることが出来ない程、平静さを失っており心配をしていました。伯父の想い出を巡り恙なく終えた葬儀の朝、虚ろに佇む私の目に映ったのは、臨む式典に備え式場の隅々まで清掃される女性スタッフの姿でした。 又、迎えた式典で進行をされた司会者の穏やかに語る口調は、聴く者の心を癒し清らかなる場所へ伯父を誘う様でした。その時に語ってくれた言葉が「人は二度亡くなる」との言葉でした。壮絶な最期を迎えた伯父の死は、奥様や私たちとの縁を分かつものでは無く心に秘めてさえいれば本当の死では無いとの事でした。葬儀を終えた後にこの時の一つひとつが心に残り伯父は、「生きている」と感じたのを覚えています。 今、縁あってこの仕事に就いた私の中には、心の中に生き続ける故人様の面影や人柄、そして人生までも多くの方に覚えていてほしいとの想いが強くあります。かけがえの無い人の生涯の最期に厳粛な「心」と優しく思いやりに溢れる温かな「こころ」で臨んでいくこと。それが亡くなった伯父やご縁のあった故人様方への私の誠意。「まごころ」と思っています。奥様の心を支えた葬儀スタッフの様に・・・。