コスモール千林 主任 中尾 聡則

「悲しみの闇の中に差し込んだ光」

僕を葬儀の世界へ導いてくれたのは祖母かもしれません。平成27年12月13日、享年83歳で僕たちの家族の前から忽然と居なくなってしましました。今まで当たり前に居た人が居なくなる。頭では理解をしていても感情が追い付かない不思議な間隔が僕の心を支配しました。想えば、大学時代の四年間、居酒屋でのアルバイトを通じ、お客様に接する楽しさや難しさを経験し「人に携わる仕事をしたい」気持ちから悩んだ末に大手の葬儀社への入社試験を受けましたが当時の僕は、御縁を頂くことが出来ず、周囲に流されるままに人材派遣会社へ入社しました。日々の仕事に没頭する中、いつしか人を物の様に扱う自分と社内の風土に居酒屋で芽生えた「人に携わる仕事」を志した以前の自分に咎められている感覚に落ち込んだりもしました。そんな時に、いつも優しく愛情一杯に接してくれた祖母の訃報が飛び込んで来ました。祖母を送るまでの数日、僕は泣いていました。今も僕の中に残る思い出は、葬儀担当者の方が掛けてくれた言葉や何気ない仕草、悲しむ僕たちを優しく導いてくれる様な雰囲気でした。葬儀の最後に祖母の穏やかな顔の周りを飾った胡蝶蘭は、その人生を労い彩る様に美しく映えていて忘れることはありません。只、悲しくて辛くて寂しくて泣いて終えた葬儀の後、自宅を訪れた葬儀担当者の方が帰るのを視界の端で見ていた僕は、その背中に向い思わず駆け出していました。懸命に追いかけ、追いつき荒い呼吸の中、絞り出すように「僕も葬儀の仕事がしたいです」とだけ言うと全身の力が抜けたのを覚えています。今僕は葬儀の世界で担当者としてあの時の僕をお手伝いしています。悲しみの闇に覆われた心を堪え悲しみや寂しさに苛まれているご遺族様に葬儀を通じて希望という一筋の光を導けるように。居酒屋でのアルバイト時代に芽生えた純粋な夢を忘れ、社会に流されていきていた僕をあの背中へ向かい押したのは祖母だと思っています。今もこれからも祖母と一緒にあの背中を追い続けます。