お葬式の豆知識① 「供花(きょうか・くげ)」

「供花(きょうか・くげ)」

葬儀の風景と言えば、故人の御柩を慰めるように立並ぶ花々を思い出される方も多いかと思います。

「仏陀入滅のとき十大弟子の一人だった大迦葉は遠く離れた土地にいて、そこでたまたま青蓮華の花を持った人に出会い、彼から仏陀の薨去を知らされる。大迦葉はその花をもらい受け、死せる仏陀の許に向かった。すると横たわる仏陀の上に沙羅樹の花の長い枝が垂れ下がって遺体を囲んでいた」

仏教説話では、死者に花を手向けるようになった由来をこのように伝承しています。死者への祈りをこめて花を飾ったり捧げたりすることは、宗教や民族を越えて行われており、何度でも再生する花や草木が生命力の象徴と見なされ、死者の新生を願うために供えられるというのが最も一般的に受け入れられている考え方だと思われます。日本の葬儀や法要では、供花・弔花・献花・枕花・仏花など細かい分類があったりしますが、英語の場合、シンパシーフラワー(sympathy flower)という呼称で一本化されています。「共感のための花」の様な意味でしょうか。故人と遺族、故人と会葬者、さらには遺族と会葬者が死者を悼む感情を共有するためのコミュニケーション媒体という捉え方をしているわけですね。葬儀や葬祭に関する事物を合理化・簡素化していく傾向が強い現代日本でも、死者に花を手向けることについてだけは、むしろ盛んになってきている印象があります。家族葬や自然葬などのコンパクトな葬儀の急速な普及の背景には、そういう葬儀方式が、本当に故人を悼む気持ちが強い遺族の心情にマッチしていたことがあります。故人が美しい花に囲まれてこの世から旅立てるように気づかう日本的なやさしさは、死者に花を手向ける行為を廃れさせることなく、今後も世代を越えて継承されていくことでしょう。